カクキュー八丁味噌

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円錐状の石積みは八丁村(現・岡崎市八丁町)のみ

 八丁味噌の仕込み桶の上には、大量の重石が円錐状に積まれています。このように積む製法は江戸時代初期から現在まで、この八丁町(旧・八丁村)で八丁味噌を造り続ける2軒のみです。そして、石を積む作業は現在も職人の手で行われています。

 重石は、味噌の水分を桶全体に行き渡らせるために一つ一つ積み上げます。木桶に仕込んだ味噌に重石を積むことなくそのまま置いておくと水分は下に下がり、上部の味噌が乾燥してしまいます。しかし、重石を積んで圧力をかけることにより、八丁味噌を凝縮させ、水分を味噌の上まで押し上げ、水分を全体に均等に行き渡らせることができるのです。
 八丁味噌は、他の豆みそよりも仕込み水が少ないことから、他の味噌屋よりも多くの重石が必要なのです。1本の木桶には八丁味噌を約6トン仕込み、その上に約3トン、数にして約350個もの重石を積み上げます。

▶カクキュー八丁味噌について詳しく◀


大豆と塩、木桶と石積みで受け継ぐ岡崎の伝統味噌

1645年創業、八丁味噌を造り続ける老舗

愛知県岡崎市に本社を構える合資会社八丁味噌、屋号「カクキュー」は、1645年に八丁味噌の製造を始めた老舗の醸造会社です。江戸時代初期から続く伝統製法を受け継ぎ、現在も八丁味噌や赤出し味噌を製造・販売しています。

八丁味噌は、愛知県を中心とする東海地方で親しまれてきた豆味噌の一種。一般的な米味噌とは異なり、大豆と塩を主な原料とし、濃厚な旨みと独特の酸味、渋みを持つのが特徴です。

カクキューの八丁味噌づくりで目を引くのは、原料のシンプルさだけではありません。大きな木桶に仕込んだ味噌に、職人が天然の川石を円錐状に積み上げて重石をし、二夏二冬、つまり2年以上かけて天然醸造で熟成させます。

効率を優先して短期間で仕上げるのではなく、土地の気候と時間を生かして味を育てる。そこに、カクキューが守り続けるものづくりの姿勢があります。

看板商品「八丁味噌」

カクキューの八丁味噌は、大豆と塩のみを原料に造られます。米麹を使う一般的な米味噌とは異なり、大豆そのものに麹菌を繁殖させた「豆麹」を用いるのが特徴です。

仕込んだ味噌は大きな杉桶に入れられ、天然の川石を職人が積み上げて重石をします。仕込み重量約6トンに対して、重石は約3トンにもなります。石を崩れないように積み上げるには熟練の技術が必要で、味噌づくりを支える重要な工程のひとつです。

その後、温度を人為的に調整せず、岡崎の気候の中で2年以上熟成させます。長い時間をかけて大豆の旨みが凝縮され、濃厚なコクと、ほのかな酸味や渋みを持つ独特の風味が生まれます。

八丁味噌は色が濃く、しっかりとした味わいがあり、大豆由来の旨みが豊かで、煮込み料理などにも向いています。

味噌煮込み料理だけではない、八丁味噌の使い道

八丁味噌と聞くと、味噌煮込みうどんや味噌おでんなど、愛知県の郷土料理を思い浮かべる人も多いでしょう。

もちろん、こうした料理との相性は抜群です。加熱しても旨みが生きるため、どて煮や煮込み料理にも適しています。

さらに、八丁味噌は隠し味としても活躍します。カレーやシチュー、ミートソースなどに少量加えると、料理に深いコクを与えられます。チョコレートやあんこ、パン生地などに活用する方法もあり、和食以外の料理にも使える調味料です。

伝統的な味噌でありながら、日々の食卓で幅広く活用できることも、八丁味噌の魅力といえます。

国産大豆を使った商品も展開

カクキューでは、八丁味噌のほか、豆味噌と米味噌を合わせた「赤出し味噌」なども製造しています。

赤出し味噌は、豆味噌の濃厚なコクに米味噌の甘みを加えた合わせ味噌です。八丁味噌よりも溶けやすく、味噌汁などに使いやすい味わいに仕上げられています。

国産原料を重視する人に注目してほしいのが、同社の「国産大豆 八丁味噌」や「国産 赤出し味噌」です。公式商品情報によると、国産大豆を使った八丁味噌に加え、国産大豆・国産米から造った味噌を使用する赤出し味噌も販売されています。

また、北海道産大豆を使った商品や、有機大豆を使用した商品など、原料に特徴を持たせた商品も展開しています。商品によって原料や仕様が異なるため、国産原料を重視する場合は、商品名と原材料表示を確認して選ぶのがおすすめです。

伝統の味を、新しい形でも楽しめる「八丁味噌のパウダー」

カクキューでは、伝統製法で造った八丁味噌をフリーズドライ製法で粉末状にした「八丁味噌のパウダー」も手がけています。

味噌を溶かすだけでなく、料理に振りかけたり、生地に混ぜ込んだりできるのが特徴です。カレーなどのコク出しに使うほか、パンやお菓子づくりにも活用できます。

長い歴史を持つ八丁味噌を、現代の食生活に合わせて使いやすくしている点も興味深いところです。伝統を守るだけでなく、その味わいを新しい用途へと広げる取り組みも続けています。

岡崎の風土と職人の技が育てる味噌

カクキューの八丁味噌は、原料の少なさ、木桶仕込み、職人による石積み、2年以上の天然醸造という、いくつもの特徴が重なって生まれます。

岡崎市八丁町の気候風土の中で熟成させる製法は、長い年月をかけて受け継がれてきたもの。味噌づくりに使う木桶や石積みの技術を次の世代へ残すことも、伝統を守るうえで大切な取り組みです。

国産原料を選ぶことに加えて、地域で受け継がれてきた製法や職人の技術を知ることも、日本の食品文化を応援するひとつの方法です。

愛知県岡崎市の八丁味噌は、濃厚な旨みと独特の風味を持つ、個性豊かな伝統食品。味噌汁はもちろん、煮込み料理や隠し味など、いつもの料理に取り入れて、その奥深い味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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